コートでは明徳との二回戦の相手の品川女子達がウォーミングアップを始めだし、観客席には他校の女子や試合を待つ男子達がぱらぱらと埋まり出した。

「あれ、さっきの見たことあるって言ってた明徳の7番…」
「え?」
「シュート全然決まってねぇな。」
観客達がアップ中の未茉を指しながら、眉をひそめた。


ーーガッゴンッ!!

「「ゲッ!!」」
リングから嫌われたボールが床に転がると、思わず野村も立ち上がりキャプテンも、顔が引きっつた。

「まっ、れ…れっ練習だからな。一本外したくらい…」
本人よりも野村が‘落ち着け落ち着け’と自分に言い聞かすと
「昨日からシュート50分の15の成功率です…」
iPadで集計するキタローの言葉に
「えっ・・・。」
顔はひきつり青ざめながら椅子に腰かける。


「白石、もう一回!」
首を傾げて手の感覚を確かめる未茉に鈴木キャプテンはもう一回パスを送る。

「はいっ!」
パスを受け取りリングを見据えて簡単なレイアップシュートに行くが、

ーーガゴンッ!!

「え……」

またこぼれたボールに今度は後ろから走ってきた前原がすかさずリングに片手で放り込む。
ーースパッと綺麗に決まり着地すると未茉を睨んで、

「弱小高に下手くそなとこ見せて恥ずかしくないの?うちのレベル落とさないでよ。」

「……!」

前原に嘲笑われるも何も言い返せなかった。


(何どうした?こんなこと初めてだ。緊張?まさか。緊張とか無縁な方だしな。)
冷や汗が流れてきた。身体中の血の気が引いていくような感覚に立ち尽くす未茉は自問自答していた。