「おーし、やってるかぁー。」

野村監督と三年の部員達が体育館に入ってくるとガラッと空気が変わる。
「「お疲れ様です!!!」」一二年達は次々に頭を下げ、三年生達を出迎えると、

「あれ白石は?」
外周から戻ってきてた女子バス部員達にキャプテンの鈴木が尋ねる。
「外周です。今日一人遅れてきたのでまだ終わってないから走ってます。」

「……ふうん。」
平気な顔で嘘をつく部員達だがキャプテンや三年は何も気づかなかった。

「あれ、君は…?」
タオルを几帳面に畳み、得点板を出したり、てきぱきと用意するキタローの姿に気付き尋ねると、
「今日からバスケ部マネージャーとしてお世話になります。」
ギラリとした大きな片目を光らせ深々と礼儀正しくお辞儀すると、
「きっ・・君は都市伝説の北哲郎君!!」
(彼女が出来なくなっちゃう彼女が彼女が彼女が)
思わず斎藤は目を見ないように部員達の影に隠れると、ギロリと睨まれ、
「きゃぁあっ」と悲鳴をあげる。

「え・・・マネージャー!?募集してたかな・・・」
まぁ、いいか。と許可する野村監督だった。


「ん?湊はどこ行ったんだ?」

一方男バスのコートに入った野村監督がキョロキョロとコートを見渡し翔真を探すと、

「ああ、なんか調子でないから少し外周してくるって言ってました。」
「え・・・。湊ってそんなマイペースな奴だったか・・?」

(白石が外周に行ってるからだろ・・。分りやすいな。最近の翔真は。)
それを聞いていた三上はふと思ったのであった。