「えーっ!!全寮制?!ぜってぇーやだっ!」
兄や父にも負けず劣らずの活躍ぶりにすでに小学校の時から、高校インターハイ全国優勝常連高のいわば女子日本一の監督から直々にスカウトに来られるも、未茉は断固拒否をした。
「清二さんっ!清二さんの方からも説得して下さいよ!!彼女は日本女子バスケ界の宝ですよっ!?」
家にまで直談判にやってきた日本一の監督が未茉の父にお願いするも、
「うーん。こればっかりはねぇ~娘の意思だからねぇ。あっ、どうです?監督一杯。」
娘の一生を左右するにも関わらず呑気に顔を赤らめおちょこで監督に酒を勧める父じゃ話にならまいと、
「お母様!!娘様の為にも、我が校の為にもぜひうちに未茉さんを入学するようにご説得してくださいませっ!!」
今度は母親にまで床に手をつき、頭をさげる監督に
「やだわぁ~困っちゃうっ。私はぁ~、パパと未茉ちゃんに任せてるからぁ、難しいことは分からないわぁ~~~」
頬に手を当てくねっと体を捻らせパパと「ねぇ~♡」と顔を見合わせる。
「む…難しいことってっ・・・・自分の娘の大切な将来のことでしょーよっ!!!」
そんな夫婦をよそに呑気にTVを見ながらソファーで寝ころがる未茉に思わず監督が声を荒げるも、
「うるせーぞ!ソイツ毎晩何時までいんだよっ!!」
ゲームに熱中する生意気な弟達にどやされる監督は、
「・・・しっ、失礼します・・」
居場所をなくしたようにひきつりながら立ち上がると、
「あらぁ~せっかく愛知からわざわざ来てくださったのにぃ~ねぇ~パパぁ?」
「そうだなぁ~ママぁ♡じゃお土産に東京の地酒でも持って帰って貰おう。」
「それはいいわぁねぇ~パパぁ♡」