外に出るとまだ会館前には制服姿のたくさんの生徒達が予選前の興奮を押さえながら話したり、写真撮ったりして集まっていたが、隅の方にいたのにも関わらず中でも特に目立つ二人だったのだろう。

「あれ、湊や。」

静香が指差した先には、翔真と制服の女が二人で親しげに肩を並べていた。

「ほんとだ。」
「告白じゃん。また。」
‘ふぁっ’とあくびしながらよく見る光景に未茉は気にも止めなかった。

「……」それを見ていた早乙女は、未茉の手を取った。


「ん?早乙女どうしたの?」

「ん。……ううん。」
「?」
「手を繋ぎたくなったんだ。」

女の子のように綺麗で細長い手で壊れものに触れるかのようにそっと未茉の手に優しく触れて軽く握る。

(最近翔真と手を繋ぎなれてたからなんか全然違う手に感じんな。)
繋いだ指先の違和感にふとそう感じた。


「早乙女の手って細いな。」
「細いのコンプレックスでめちゃくちゃ鍛えたけど、手は変えられないよね。」
「あー、分かるあたしも!」
優しい目で未茉と笑い合う和やかな雰囲気に翔真が気づかないわけなかった。

そしてこっちに気づいて見てるのを早乙女には分かっていた。