「ふーん。桜蘭って確かBブロックだっけ?」
壁に貼られたトーナメント表を眺めながら見た。

「ありゃほんまもんの天才やで。今年はそのエースのお陰でBブロックは桜蘭が勝ち上がるかもしれへん。うちの田島さんも注目してたんや。」
「へー。あ、桜蘭だ。」
桜蘭学園の女子達がホールから出てきた。少しセピア色のセーラー服にお金持ち女子高っていう特別感が男の視線を集めていた。


「なんか美人が多いね。絵になるっていうか……」
「まっ、そこまで残ってたら戦う価値あるで。安心せいうちが決勝リーグでぼこぼこにしてやるで!」

‘あははは’と通路いっぱいに高らかに響き渡る静香の声に、


「あっ、白石さん。」

「あ!!早乙女じゃん!」

「よかった会えて。みんな大きい人ばっかだから探すの大変だったけど静香の声に感謝。」
190センチ台の人の群れの中、174センチ
の早乙女は人の群れに埋もれそうになりながらも、必死に未茉を探し見つけると大成男子の輪から抜け出してやってきた。

「早乙女って普段メガネなの?」
「うん。試合中はコンタクト。」
「へぇー!いかにも頭良さそうな感じ!」
「そや。早乙女はいつも学年一位の秀才やで」
「へぇー!!んな感じ!!」
「やめてよ。静香。」
誉められ恥ずかしそうに照れる早乙女を見た莉穂は、
(なるほど。そういうことか…)
淡い恋模様を悟った。


「制服姿初めて見た。凄く可愛いね。」

「えーっ!そぉっ!?早乙女ってば相変わらず上手いなぁ~」
真っ直ぐで優しく落ち着いた口調から素直に伝わるので、全く悪い気もせずへラッとする未茉。

そして次は、長身の群れの中でも頭一個飛び出てる大成の白の巨人・マイクがこっちにやってきた。
そしてその後ろには鈴木もいた。

「お。美人が二人も。」
「・・ちょっと待ちぃ、マイクさん。明らかにうちが入ってなかったで?」
「あははは冗談だ。静香。俺にはお前が一番美しく見える。」
「分かってますやんか。さすがマイクさんや。目の付け所が違いますなっ」

(単純・・・)と莉穂は苦笑いした。