ー令和✕年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)・東京予選ー


そしていよいよ全国バスケットボール大会の東京の予選開会式が行われた。

「お、桐生嵐のポスターだ。」
「コイツと戦いてぇな。」
「それなら全国行くっきゃねーな。雲の、雲の上の存在って感じ。」


会場の体育館には、バスケオブキング・無敗の男と唄われる桐生嵐の大きなポスターが貼られていて、誰もが憧れの先へと眺めながら会場に入っていた。

次の日から初戦を控えてる高校もあるので早めに退散し練習に向かったりする高校とそれぞれだ。

「未茉。」
「あ、匠兄!」
たくさんの人でごった返す中、整列から抜け出すと匠が未茉を見つけて駆け寄ってきた。


「でっけぇ奴ら多すぎじゃね?よく分かったな」
「ずっと一緒にいる妹の姿くらい分かるよ。」

ざわっ……
「王子だ…王子の星河だ!!スター兄弟だ!!」
「ほんとだ。マジイケメン!!あれ弟の方?」
「一緒にいる子誰だ?」
一気に周りの人達が引き始めた。

東京ナンバーワンであり、去年の全国覇者の王子学院という名実もあるが雑誌などの露出もあるせいか匠の存在に周りは騒ぎ始めた。


「凄いね匠兄、注目の的じゃん!さすがっ。」
ポンッと背中を叩きながら、
「あっ!健兄はっ!?」

「今日は来てない。なんか駅伝の関東大会あってそっちに強制的に駆り出されてる。」
「げっ、すげぇな。」

「俺ら王子はトーナメント最後だからまだ日にちあるしね。」
「そうなんだぁ~残念。」
「伝えとく。」
「うん!絶対ねっ!!あ、じゃあたし約束あるから行くね!」

「あ、未茉!」
「ん?」
「……」
「匠兄?」
呼び止められ振り返るも、言葉を詰まらせてる様子だ。

「いや…応援してる。頑張れよ」

「うん!明徳と一緒に全国行こうな!匠兄っ!!」
ぎゅっと両手を手に取り握って微笑むと匠は、髪をかきあげいつもの優しい笑みを浮かべた。


「目立ってるな~あの二人」
結城と三上も遠目からそんな二人を眺めてると
「あ、あれ翔真は?」
急に消えていた翔真をキョロキョロと二人は探すと、二年の橘がニヤニヤと意味深な表情を浮かべ、

「翔真なら美人に呼び出されてったぜ?」
「「何っ!?」」