「去年荒井と対戦して敗退したらしいからな。」
「ふーん。行けるよ!絶対!そんで男女共に大成ぶっ潰そーぜっ!!」
机の上に乗り椅子に片足立ててガッツポーズを決める未茉に翔真は、
「女子は?」と尋ねた。
「えーっとね、」ポケットからぐちゃぐちゃに丸まったプリントを出し、
「おま・・本当に女かよ。」
「気合い入れたらつい丸めちまった」
呆れる結城と三上をよそに翔真はプリントのシワを伸ばして見る。
「3ブロックなんだ?女子は」
「うん。48校だから男子より少し少ないらしー。」
「Cブロックか。」
「大成Aか。よかったな当たらなくてっーーっておいっ!王子と大崎と同じブロックじゃねーかっ!!」
‘おいおい…’と結城はひきってる。
「まるでこのブロックが決勝リーグだな…」
「ん?新垣さん達も三上と同じこと言ってた。そんな強いの?」
「強いよ。大成は男子もここ数年決勝リーグ進出&全国に行ってるから別格だけど、大成女子は王子と全国出場への椅子をかけてここ何年も接戦してる。」
「田島さんがいるからここ二年は大成が勝ちって新垣さん言ってた。」
「いつも決勝リーグ三チームは、大成と王子と大崎が上位3位に入ってるんだ。」
「へぇー!そうなんだ。」
「そうなんだってお前…。いいか?女子は男子と違って1チームしか全国に行けないんだからなっ!?」
「うん。大成倒せばいいんでしょ?」
ケロッと答える未茉に結城は唖然とするも、
「最初っから大成を倒すことしか考えてねーよ。多分全国にもあれだけのプレーヤーはそういないし、あの人負かさなきゃ全国に行く価値は自分にはない。」
急に試合モードのスイッチが入った真面目な表情の未茉が言うと、
いつものじゃじゃ馬娘が突然こういう目のすわった態度を見ると、その強さの格の違いが滲み出て、誰も何も言えなくなった。



