「え、未茉ちゃん一人?一人で磨いてんの?」

眠たそうな目が急に覚めた翔真が体育館に入ると、女子バスケ部が使用する体育館のハーフコートを一心不乱に磨く未茉のもとへ男女バスケの仕切りネットをくぐりやってきた。

「おう!そーだよ。」
「さっき女バス外周走ってたよ?参加しなくていいの?」

「うん、あたしはこっちでいいみたい!まぁー、一年はこんなもんでしょ。」

手を休めず磨きながら答える未茉の首筋から溢れる汗に気づき、自分のタオルを翔真はかけてあげた。

「さんきゅー!」にこっと嬉しそうな笑顔に翔真は頷くように頭をポンッとした。


「なんで白石一人でやってんの?かわいそうじゃね?」

戻ってきた翔真に結城がコートを磨く未茉を横目に尋ねると、三上が気になっていとことを口にする。

「俺姉ちゃんがここのバスケ部出身だったから聞いたことあるんだけど、うちの女バスレギュラー争い半端ないらしい。仮にも一年でスタメンなんかなったら、標的にされるって聞いた。」

「え……」

「女バスケの洗礼らしいな。」

「…俺、マネージャーになる。」
いつの間に体育館にいたのか、隣にいたキタローがそう断言すると、
「「えぇっ!?」」
三人はひっくり返りそうなくらい驚く。

「白石のコンディションチェックやアスリートメニューも考えやすいし、負担を軽くして何より少しでも練習多くやらせてあげたい。」
「そっ・・そこまで!!?」
どんだけ恋してるのか・・それとも崇拝してんだ!?と謎すぎるキタローに突っ込みたくなるも、

「なぁなぁっ!!やっぱりキタローの呪いで白石虐められたんじゃねぇの?!」
コソッと結城が二人に耳打ちするも、
「三上行こ。」
「おう。」

「おいっ!!無視すんなよ!!お前らぁ!!!」