「あ……」
職員室の隣の来客用玄関からは、王子学院高校の制服を身にまとった星河匠がスリッパを履いて出てきて、未茉の荷物や靴を持つ翔真に気付いた。
「湊君。」
「あ、えっと…」
(昨日会った未茉のアニキでありアニキじゃない星河兄弟の星河健ではなく、弟の…方。えっと…)
兄の健が脳裏に強く残り覚えていなかった翔真は必死に思い出そうとしてると、
「星河匠だ。」
彼の方から名乗り出てくれた。
「こんにちは。」
「未茉を迎えに来たんだ。それ荷物だろ?」
「アニキじゃないのに迎えにくるんですか?」
「雅代さんが瑞希の小学校の集まりで出てて、和希がうちに来てて話を聞いて俺が迎えに来たんだ。」
「そうですか。」
「未茉の具合は?」
「多分貧血と薬の飲み過ぎらしいです。」
「薬…!?」
「……」
はぁっ、と匠は苛立つようにため息ついた。
「薬を飲んで我慢させる程アイツは昔から頑張ってしまうから。だからこんな弱小高校に行くなんて反対だったんだ。」
「……」
「どうせエースだからって徹底的にしごかれてる姿が目に浮かぶ。あの才能とあの子の未来を思えば本当は王子に入って溢れる才能を伸ばすべきだったのに。」
「そうですかね。」
感情的に捲し立てる匠とはうってかわって翔真は冷静に応える。



