キーンコーン……
予礼が鳴り練習してた部員達はコートを去ってく時、前原と目が合うもスッとそらされ去っていった。

「あんだよなー。」
「ん?どうしたの?」
「何でもねぇーよ。五時間目サボろ。付き合ってよ翔真。」
「んー。それはいいけど。」

自分の高さまで跳ねさせたボールをひょいっと軽く片手でシュートしてネットに放り込む。

「すっーげぇシュート!リングが近くて羨ましいぜ。」

「未茉ちゃんみたいにスピードと技がある奴が自分の目線の下でなんかやられると脅威だけどね。」


「……そうか。」

思い立ったように頷く未茉は、ゴール前へドリブルで走って左手でボールを持ち高くジャンプした。

翔真ももちろん体を寄せてブロックしようとするが、

「おっ。」

左手から右手にボールを落とし、低い位置から背面のまま高く放り投げるシュートを決めた。

ーーシュッ!

「やった!」
「ん、いいね。」
パチン!と手を合わせて叩き合うも二人の姿を二階の体育館のギャラリーからこっそり見ていた前原は見ていると、

「凄いシュートよね。」
「!」
後ろを振り向くと鈴木キャプテンもそんな前原を見ていた。

「教室に戻ったんじゃ…」
「私も白石を見てたかったからね。」
プイッと前原は顔を反らして手すりに肘をつく。

「こんなシュートができたら得点できるのにって何百回も練習してようやくできるようになっても試合で発揮できなかったり、同じ人間なのにあんな簡単にできるなんて憎らしいくらいわ。」

「……!」
「でもあれに嫉妬するか、楽しむか。」
「……」
「ちなみに三年全員勝つために妙なプライドは捨てたの。」
「……!」

「インターハイに行く為にね。」


「……」
屈んで靴ひもを結び直してる未茉に気づかれないように二人に気づいていたた翔真は二階のギャラリーに向かって笑顔で会釈すると、

「!」その場から走り前原は体育館を出ていってしまい残念そうにため息ついた。


「ん?どうかした?」
ため息に気づき未茉が顔をあげると、

「なんでもないーーかな?」
翔真はボールを回しながら微笑んだ。