「大丈夫?」
「へーきへーき!治まった!」

昼休みになりすっかり寝て体力回復し、体が疼いて仕方なかったので、翔真を連れ出し体育館に行くと予選前だからかバスケ部が何人も自主練をしていて、
「あ。」
中には前原の姿もあり、こちらに気づくも背を向けて練習してた。

ボールを手にした翔真は未茉にパスを出すと、

「翔真!止めてよあたしを。」

片手で受け取って不敵な笑みを浮かべると‘いいよ。’の代わりに腰を落として挑発してきた。


「おー!上等だぜっ!!」

そうこなくっちゃっと楽しそうにゴールへ速攻駆け出す。

キュッキュッ……
止められるくせにカットできるくせに翔真は体を寄せてシュートコースの前を読んで絶対に立ち塞ぐ。

(でけぇし、反応早いなコイツ……)


「……」
遠目から前原もその様子に少し目をやった。


ーーバシッ!
だがいつもの調子が出ず、何度となく翔真に阻まれ一度も打たせては貰えなかった。

「今日やっぱ動き悪いね。ほんと大丈夫?」
「へたくそだって言いてぇのか!?」
ムカッとする未茉は翔真に勢いよく掴みかかる。

「そーじゃなくて。」

‘落ち着け’とじゃじゃ馬娘を落ち着かすように翔真はポンッと軽く頭をノックするように叩きため息ついた。