「夏終わるまで会えなくなる前に顔見ときたかったんだ。」

彼女の髪を優しく撫でてる匠は、完全にBIG3の存在は見えていないようで、いい雰囲気の二人の世界に気まずく顔を三人は見合わすと、



「あれ、王子……って中国って」
三上は小声で呟くと、結城もハッと何かに気づいた様子だ。


「なんか心配で迎えに来なくても良かったか。こんなに男引き連れてんじゃ。相変わらずモテモテだな。」
「そんなんじゃねーよっ!」
周囲にようやく気づいたのか匠はBIG3を見ながらそう笑った。


「バスケ部?一年かな。」
「おー。みんな明徳の一年。」
「あっ、分かった。湊君いる?未茉の彼氏候補!」

「ん。家ではそういうことにしてくれてんだ?」
嬉しそうに翔真は未茉を見ながら笑った。


「違うだろ!もー!!どうせママだろ!?」
「湊君は久々の雅代さんのイケメンメーターがヒットしたらしいからね。」

「ちょっとやめてよ!!匠兄っ!!健兄には絶対に言わないでよっ!!ぜぇぇーーたいっ!!」

(たける…)
ここでも噂の健の名前が出て翔真は唇を噛み締めた。


「匠…、健…、王子…」
その名前とワードにもピンと閃いたのか三上はバッグの中から雑誌を取り出した。


月刊のバスケ雑誌で、去年インターハイ優勝を果たした王子高校の特集が組まれていてそのページの一面で見た顔を暗闇の中で一致した。