「匠兄!!どうしたの!?なんでここに……!!寮はっ!?」


未茉が‘匠兄’と呼んだその男がバイクから降り立つと清潔感のある黒髪をかきあげ耳にかけると、モデル顔負けのいわゆる美形男子は抜群の存在感とオーラを放ちながら凛々しい視線を向けた。

186cmという高身長とがっちりとした体格にBIG3は明らかにバスケをやってるものだということは聞かずとも分かった。



「今日王子の大学の先輩と会ってて実家帰るとこで送って貰ってたら、ちょうど未茉が目の前にいて驚いたよ。雅代さん(未茉ママの名前)からもお前がまだ練習で帰ってこないってLINE来たぜ。連絡くらいいれないと心配するだろ。」


「そうだったの!?いつ王子高から帰ってきたの!?」
「今日。未茉、成瀬に帰ってこいって伝言したろ?だから飛んできた。」

「したした!!この前明徳と練習試合だったんだぜ!?てっきりいると思ったらよ」

「ああ。ごめんごめん。中国遠征で」
「しばらくこっち帰ってくるの!?」

「いや、予選前の練習漬けの前に実家には顔出しておこうかと思って。明日には帰るけど。」

よっぽど匠の存在が嬉しかったのか、話したいことがたくさんあるのか、身を乗り出して目を輝かせて話す未茉を、その凛とした美しい目が愛しそうに柔らかい表情に変わる匠を翔真はみていた。


「なんかいい匂いするな…あの人」
結城と三上はここまで香ってくる汗くさい自分らとは大違いの香水になんだかいらぬ敗北感を感じてる・・・。