5月になると明徳のバスケ部は、朝練が六時からと早くなり練習は八時までとなった。

そう、高校バスケの三大大会の大きな一つ。
早くも全国出場に向けてのインターハイ東京予選がいよいよ一週間後に迫ったのだ。



「白石!!もっと早く戻れ!!いいかっ!?そんなんじゃ田島に追い付けないぞ!!」

「はいっ!!」

「馬鹿野郎!!そんなボールも取れないのかっ!!高さがなければ飛べ!!」

「はいっ!!」

いつも以上に野村監督からの激が集中して飛んだ。未茉はそれに答えるように走り出す。
「違うっ!!そこで仕掛けるんだろうがっ!!」

ペイントエリアで果敢にアタックして本気の二年相手に少しスピードが落ちたがシュートを決める。

「そんなんじゃ大成の石井には通用しないぞっ!!!」



「おいおい・・。いつからうちのバスケ部は強豪高のようにこんな気合い入って練習してんだ・・。」
同じ体育館のハーフコートで練習するバレー部が、去年までとは全く違う野村監督の気合いの入った練習に絶句していた。

「やっぱ白石や湊達が入って今年のバスケ部インターハイ出れるんじゃねぇかって期待されてるらしいぜ。」

「バスケのインターハイって、東京は大成と王子で毎年決まりだろ?」


「今年は違う。」


突如背後から現れ、低い声に片目のキタローに
「「おわぁぁっっ!!!」」
悲鳴をあげ仰け反るバレー部員達であった。

「アイツマジでこえぇよ・・・」
「ああ・・。目を合わすと呪われるらしいからな。」

去ってく姿にビビりながら見つめるのであった。