「翔真、どっちが先に落ちるか勝負しようぜ。」


手持ちの花火を使いきり、二人は並んでしゃがみ締めの線香花火を始めた。
ジリジリ…っと音を立てて赤くオレンジに膨らむも中々落ちては行かず、

気づくとずっと彼女を見つめていて、


「未茉ちゃん。浴衣姿可愛い。」

何度でも言いたくて、また口にする。


「おう、さんきゅ。でももう着ないだろうなぁー。この夏はインターハイで忙しいしな。」

「うん。」

暗闇の中、花火ではなく彼女の目を見つめて頷くと、

「あ、落ちたー!!せっかく願い事こめてたのに!!」
ポトン……と静かに未茉の線香花火は地面に落ちて灯りが消えてしまう。


「じゃ俺の願いは叶うかな。」


「何願ったの?」

顔を上げて言いかけた時、その顔はすぐ側にあって、

「来年も未茉ちゃんの浴衣姿見れますように」


「ちっっせぇ、願い事!!!」

「そう?」