視界には花火の灯りが灯る暗闇の中で浴衣の裾を持ちながら、弾けるような未茉の笑顔がキラキラと輝いて見え、彼女から目をそらせないでいた翔真の横顔に莉穂は気づいた。


「告白はしたの?してないかな。この調子だと。」

「あははっ、聞いたのに答えてる。」

「中学時代から凄くモテるよ。面白いくらい。うちの弟もぞっこんだし、ハイクラスの男子が次々にノックアウト。」

「えー。凄いなぁ。」

(ふんわりと笑うよなぁ…この人。余裕なのか、あんまり深く考えてないのか、どっちなのか。)
中々読めない笑顔の奥を分析しようとする莉穂だが、煙に巻かれてるような感じに陥る。


「俺、告白したらどうなるかな?」

「振られるよ。」


「あはははっ!即答かー…じゃ、二階堂と東条さん達よりは早く付き合えるように頑張るね。」

「嫌みか!」
「あははっ!!」

「湊、余裕ぶっていられるのも今のうち。」「?」
「時期に現れるわよ。最強のライバル。」

「もしかして‘タケルさん’?」

「!!知ってるの?!」
「さっきなんとなく。」

「10割の男が彼がライバルだと知って諦める。」

そう強く断言する彼女に、

「俺は諦めないよ。どんな男が相手でも。」
「その凄い自信はインターハイ予選で消えるよ。あ、決勝リーグまで行けばの話だけど。」

「じゃ意地でも行くよ。」

中々食い下がらない見上げた根性の翔真に、莉穂はため息つくと、

「未茉ちゃんの知らないことたくさんあるけど、知らないことを知る度に、もっと好きになってく。俺は自分の中で一つだけ自信持ってることがあって。」
「?」

「どんなにライバルがいても未茉ちゃんのこと他のどんな男よりも一番俺が好きだって自信だけはある。」

「……!」

「だから周りとか関係ないんだ。」

勝ち誇った顔をした翔真は立ち上がって未茉の元に行った。