食べ盛りの兄弟二人とバスケット選手四人が加われば物凄い量の肉が消費され、空になった肉のパックは山積みだ。
しかも外で食べる焼き肉は格別ときたもので。

「あ~~っ!!旨かったっ!浴衣でも全然食べれたなぁ~」

満腹満足で未茉は浴衣の上からぽっこりお腹をさすると、


「あははっ和希君うまいなっ」
「湊ヘタすぎっ!また死んだ」
翔真は庭でSwitchで対戦ゲームを始めた和希瑞希と一緒になって楽しそうに遊んでる声が聞こえてきた。

(あの二人が凄くなついてるな。翔真は穏やかで優しいから誰にでも好かれるんだろうな。)

「おしっ!あたしも参戦してやるぜ!」
「えー!?いーよ姉貴もよえぇし!!」
「あんだとこの野郎!!」


「おばさん、ごちそう様でした。手伝いますよ!」
「あらあら莉穂ちゃんいーのよぉ!座っててってば!本当に未茉は気も利かないんだから嫌になっちゃうわぁ~~。莉穂ちゃんみたいな女の子らしくて可愛らしい女の子になって欲しかったんだけどぉ。」
「そうですか?私にとって未茉は一番の憧れの女子ですけどね。」
「まぁ!優しいのねぇ~莉穂ちゃんってば。」

仲良く片付けを手伝う莉穂とママを確認した二階堂は、翔真の元へ向かった。



「お前、さっき未茉がいるから明徳に入学したとか言ったよな?どういうことだよ。」

ずっと引っ掛かっていたのか、ゲームに夢中の未茉に聞こえないように話しかけた。

「どういうって?」
「うちのスカウト断ったのは、てっきり巨人のいる大成に行くと思ってたぜ。」


「昔、愛知に住んでる頃、ミニバスの試合で未茉ちゃんに一目惚れして、それからずっと会いたかったんだ。東京に戻ってきたら会いたくて。」

「は?お前未茉の為に自分のキャリア投げたのかよ!?」

「キャリアって…」

「結城や三上達はお前が女の為なんかに明徳なんか選んだなんてよく許したな!?仲間でも俺ならぶん殴ってでも止めるけどな。」

「言ってないけど…」

「はぁ?!」

「三人でバスケすればどこでも勝てるって俺らは信じあってる。例えそれが強豪高じゃなくても。」
「…!」

「それに俺は、未茉ちゃんに自分を知って貰えない人生を送りたくなかった。」



「お前…狂ってるな。」