「なんだ!お前ちゃんと笑えんじゃん!!」
安心したように未茉が北の長い前髪をめくると、
「!!」
ビクッと北は両目を閉じた。
「開けろよ。目。」
「…」
北は顔を真っ赤にして頑なに首を振る。
「いいから開けろよぉ!!!」
「みっ未茉ちゃん!!!」
無理やり北の瞼を指でこじ開けようとするのでその乱暴さに翔真は止めるも、
「あんだよなっ!」と諦めて座ると、
「怖くないのか…?」
散々因縁をつけられて来たのか声を震わして、髪型を元に戻し、片目をやはり隠す。
「ねぇーよ。ちっとも。な?翔真」
「うん。どっちかっていうと、こんな豪勢なお弁当を作れることの方が怖い…」
「確かにな!!」
あはははっ!と未茉は笑い出す。
「明日…、よかったらお礼にお弁当作るけど…」
「えぇ!?いいの!?マジ!?大変じゃねぇ!?」
すっかり平らげてしまった未茉の嬉しそうな顔に首を振る北に、
「悪いね。北」
にこっと翔真が笑うと、
「男には作らない。」
ツーンッとそっぽ向き、断られた。
「・・・・。」