「おわっ!!莉穂っ!!浴衣!?」
テーブルを拭いてると、おしとやかな足取りで現れたその晴れやかな姿に想像異常に二階堂は目を輝かせて喜ぶ。
「えへへ。おばさんに着せて貰ったの。どうかな?」
リビングに降りてきた莉穂は、ピンクの花柄の可愛らしい浴衣に身を包みターンして二階堂の反応を伺うように照れた顔を赤くする。
「かっかわ…」
(恥ずかしくて言えるか!!)
顔を真っ赤にしては声を震わせながら、しどろもどろ言いかけるよりも先に、
「「莉穂さん超素敵っす!!激可愛っす!!アイドルみたいっす!!!最高っす!!」」
「ほんと?瑞希和希君褒めすぎじゃない?」
「そんなことないっす!!マジ世界一可愛い!!」
「ムッ・・・こんのクソガキが・・・」
言いたかったことをあっさりと先に言われ腹が立つ二階堂・・。
「……てことは…」
翔真は準備していた手が止まり、期待して慌ただしく声と共に足音が降りてくる廊下の方に目をやる。
「未茉ちゃんってば、こんなに帯緩くして取れちゃうわよ!?」
「いーんだよ!焼き肉いっぱい食べるんだから」
「もーっ!!」
「未茉、めちゃくちゃ可愛いよ。」
期待に胸を弾ませる翔真を見て莉穂は微笑む。
「湊君ー♡♡♡どうかしらどうかしらぁーうちの娘はぁー?」
さぁさぁと翔真の反応が欲しくて仕方ないママは未茉の浴衣姿を見せようとするも、
「あっ、うまそー!!とうもろこし大好きー!!やほーいっ!!!」
浴衣の裾を捲り未茉は庭のベンチにあぐらかいて座って、ホットプレートからとうもろこしを取って大きな口を開けてかじり出す。
「もぉー未茉ちゃんってばぁー!せっかく着たのにぃ!」
「色気より食い気だな……」
「未茉ってば。」
三人が呆れてる中・・・、
「はい、とっても可愛いです。」
くしゃっとした笑みを浮かべて翔真はとても嬉しそうに答えると、未茉が座るベンチの隣に腰かけた。
「未茉ちゃん、足は立てない。はだけるから」
「えーだから浴衣やなんだよ。」
「せっかく俺の為に着てくれたんでしょ?」
「ママみたいなこと言ってんなよな。」
「えー」
「はい。とうもろこし。」
豪快に二つに割って、仲良く食べてる穏やかな二人を見て、
「とっても可愛いですって・・男が言うか?あんなデレッデレッの顔して嬉しそうに・・」
信じらんねぇ…恥ずかしいと二階堂は真っ赤になりながら、自分では照れて言えなかったことをあっさり言った翔真を憎らしく思うも、
「どんなすげー試合に勝っても、アイツのあんな嬉しそうな顔見たことなかったな。」
(まさか未茉の浴衣姿で見るとは…な。)



