「「お疲れ様でした!」」
お互いの健闘を称えながら解散する両者は、体育館前に散らばっていた。
「未茉!お疲れ様!一緒に帰ろ!」
「莉穂!うんうん!!帰ろっ!あ、駿も!」
試合に負けて少し元気のない二階堂に気づき、未茉が誘うと、嬉しそうに駆け寄ってきた。
「駿、相変わらずすげーな。」
「負けたら意味ねぇーよ。あーあ。」
同じセンター同士ゴール下でだいぶ結城と三上とやりあっていたが、結果負けてしまい悔しそうにその視線は空を仰ぐ二階堂の元に、
「未茉ちゃん、待って。」
翔真が追いかけるようにやってくると、面白くなさそうな顔を向ける。
「お疲れ。二階堂」
手を差し出す翔真に‘対しプイッ!’とそっぽを向くと、
「駿君。負けたからってふて腐れるなんてカッコ悪いよー。」
子供みたいに不貞腐れる二階堂の態度に莉穂は呆れ顔だ。
渋々手を差し出す二階堂に、ぷっと微笑んで昔から勝っても負けても握手する余裕のオーラを放つ翔真に‘ムカッ’としてその手を振り払うとする前に、
「おわっ」
そんな魂胆はお見通しなのか、すかっと手をよけられて空振りになり、体制を崩してコケる。
「あっはははっ!!だっせぇ!!」
ぷーっ!!と莉穂未茉に吹き出され、二階堂はカッチーンとキレて怒りでプルプルと震え、
「てっめっえ…!!!わざとだろ!?」
「え、なにが?」
「何がじゃねぇだろっ!!大体てめぇは昔っからお澄まししやがってよ!!気に入らねぇんだよ!!お前のそういうとこが!!!」
「うん。」
怒り奮闘する二階堂に対し、まるで相手にせず頷くと、
「大体おめぇ、王子の推薦来てたんだろ?なんで断って明徳なんか行ったんだよ。どうせ女にモテてぇからボーズになりたくねぇとかいう理由だろ?!」
「未茉ちゃんが明徳だから。」
さらりと即答すると、
「はぁっ!?」
これっぽっちも検討もしなかった返答に二階堂は我が耳を疑い目を丸くしてる。



