「しっ……翔真!!」
「危ないよ。」
すぐ背後のコートでアップしてた翔真が間一髪で受け止めた。
「良かった…」
二階堂も思わずホッとするのもつかの間、その男の姿に気づいた。
あのまま転んで顔面から突っ込んで壁に激突して二階堂にも怪我させてしまう所だったので、
「ごめ」と未茉が言いかけた時、
「手、もう放して大丈夫。」
とっさに未茉の手を掴んでた二階堂に翔真はそう言うと、
「…らしくねぇな。目の色変えてお前が指図するような関係なのかよ。湊。」
あえて二階堂が手を離さないでいると、
「え、何?知り合いなの?お前ら」
そんなような口ぶりの二人に未茉は目をぱちくりさせながら聞くと、
「中学時代何回も負けてる。こいつらに」
睨み飛ばしながら答え、渋々未茉から手を離した。
「気を付けないと予選前だろ。」
すると翔真は少しだけ怒った表情で未茉に珍しくきつく言うと、
「わりい、サンキューな。」
気まずそうに答える未茉に優しい視線を落とす翔真を見て、二階堂は聞かなくてもその想いを察知した。
「駿、マジごめんね。怪我ない?」
「大丈夫。そっちこそ。」
「未茉っ!!大丈夫!?」
心配した莉穂が駆け付けてくると、翔真は二階堂と目が合い、
「怪我ない?」
「ないね。」
目を反らし二階堂は少しムッとしながらチームに戻っていった。
‘手、もう放して大丈夫。’
(なんだ。アイツのあの顔…独占欲の塊か。生意気に未茉狙いかよ。)
ピーッ!
「開始五分前ー!!」
ちょうどその時、笛がなったので両者の選手はベンチへと移動を始めた。
「神の子・湊が、未茉を…」
二階堂はバッシュの紐を結び直しながら、
「面白れぇ。ぶっ潰してやる。」
中学時代から憎きBIG3へ憎悪が増し余計に気合いが入った。