「駿ー!女子の方のコートで少しやんない?」
ボールとゴールが視界に入れば、血が騒ぐ未茉は二階堂を誘う。
「ああ、いいよ。」
当然のように受けてたつと、
「ちょっ…!!いくら全中MVPだからって二階堂なんかとしたら怪我す…」
驚いて阻止する成瀬に、
「ああ。大丈夫です。いつものことなんで。」
そう笑って見せる二階堂に、
「いやだって…」
170センチ程の身長体格なら100歩譲ってまだしも、二階堂駿は、一年ながらに195センチ、二三年に比べればまだ細いが、王子学院のゴール下を任せられる程の強靭なフィジカルは持ち合わせている。
だが、そんな心配もよそに二人は駆け出すと、
「「「こんにちはぁぁあ!!」」」
「「「宜しくお願い致しまぁぁあす!!」」」
ーーガラッ!!更衣室からやって来た明徳の選手達が体育館の扉を開け、大きな挨拶を響かせた。
「「あっ!」」
明徳部員を引き連れた野村が、勝手に王子学院の選手と1対1をやってる未茉を指差し驚きの声をあげていた。
「また白石は何やってんだ・・」
男バス部員達が呟くと
「まぁーたやってる」と翔真は腕組んでやれやれと上向いて呆れてる。
「こぉらぁぁあ!!
白石ぃぃ!!!何をやってるんだぁっ!!!」
野村が体育館全体に響く声で怒鳴り付けると、
「ぅゲッ!!ノムさん!!」
‘ヤバッ!!’と未茉の足は止まるも、
「どうもすみません…うちの生徒が勝手に」
新米は王子学院の監督の元へ謝りに行くと、
「こんにちは。いえいえ。私も許可したのですよ。」
(わぁおっ!!綺麗な女性!!!)
数人いる顧問のうちの女性が微笑むとすぐに新米の心は奪われる。
「白石さんの活躍ぶりは本校では英雄ですからね。誰も文句など言いません。」
「はっはぁ…!!」←聞いてない。
「バスケIQだけじゃなく、頭も良ければ・・・。」
うちの高校に進学してほしかった。とそんな切実な願いを涙ながらに漏らした。



