「白石全然変わってないじゃん!」
「かわんねーよ!っーかお前らみんなショートで誰が誰だかわかんねぇし!!」

わいわいと盛り上がっていると、男バスの方から一人またこちらに気づき、

「お、未茉ぁっ?!!」

「ん?おおっ!!駿!!」

振り返ると、そこには同中で小学校の時から未茉の父が経営する同じミニバスで切磋琢磨しあった二階堂の姿があった。

「元気か!?つーか相変わらずでけぇ!!」
「おう!元気だぜ!!!」
「お前二メートルいくんじゃね?」
「いけたらいいんだけどよー!」

そこには男女関係なく、ずっと仲良くつるんでいた二人の姿があり、

「小学校から毎日未茉の顔見てたから、お前の顔見ないとか最近違和感しかねぇよ!!」
「おう!!あたしは……お前の顔見るまでお前のことすっかり忘れてたぜ!」

ズコッ!!・・とずっこける可愛そうな駿。



「二階堂」
振り向くと、王子学院の二年の男子が松葉杖をつきながらやって来て二階堂を呼んでいた。

「早く、アップしろ。」
「はい!!」
バスケ部のわりに小さめサイズなのにも関わらず、その圧のある指示に“またな”とすぐにチームに戻っていった。

「あの人、キャプテン?」
「成瀬さん?違うよ。健さん達とも仲いいよ。」

莉穂にその名前を出されて、はっと気がついた。


「ああっ!!健(たける)兄はっ!!?」

大声を出して未茉は辺りを大きく見渡すと、

「健さん達二、三年は、中国遠征に行ってる。」

「えぇっ!!?」
「なに、本人から聞いてなかったの?」
「驚かそうと思ってたぁぁぁあ…」

なんだよぉぉおとがっかりため息ついたように床にしゃがみこんで半泣きしている未茉を莉穂はくすりと笑った。