「てかなんで突然来たの?びっくりすんじゃんよー。」

王子学院は未茉の家の近くの地下鉄からの快速が最短ルートなので、駐車場から自転車を出し荷物を入れる。

「んー。応援来てほしかったしね。」
「だから行くって言ったじゃん。」

未茉はチャリに乗って、翔真が後ろに乗るのを待ってると、

「え、普通逆でしょ?未茉ちゃんが後ろ。俺前。」
「だってあたしのチャリだし。足の長さ絶対翔真に合わないよ。」
「いいよ。」
「いいって。試合前に足疲れるよ。」
「ははっ。そんなやわじゃないよ。」

それならばと未茉が後ろに股がると、

「行くよ。」
「うん。」
「もっとギュッと抱き締めてくんないの?」
「いいからこげよ!!遅刻するぞっ!!」
「あははっ」

足の長さに全く合ってないチャリを翔真は笑いながら楽しそうにこいで駅まで向かうと、

「あっ、やっほー♪結城三上ー!!」
乗り換え駅に到着すると、ちょうど後ろが結城達が歩いていたので大声でチャリの後ろから、未茉は手を振る。

「おーって。お前らどんだけだよっ。」

「おはよう~」
朝から珍しくご機嫌な翔真は未茉を乗せて通りすぎながら挨拶してくと、

「おいっ!!お前らぁ2ケツしてんじゃねぇ!!降りろぉお!!」
「やべっ!!新米に見つかった!!急げ翔真!」
「うん!」
逃げるも楽しそうな翔真は風を切りながら自転車をこいでいく。

(ったく・・昨日の合コンもお持ち帰りしそこね、俺ですら2ケツする彼女もいないのにアイツらめ・・・)
新米は許すまじきリア充な二人を睨んでいると、
「ヒッ!!」
隣から怨念を感じ振り向くとキタローに睨まれ、
「きっ…きっ北君じゃないか!!なんで今日は女子休みなのにいるんだ?!」

「白石への差し入れと王子学院の偵察だ。」
「しっ…白石は色んな人種からモテるな・・・。」




そして迎え撃つ、王子学院高には一人の男が首を長くして待っていた。


「…いよいよ、来たな。世田中のBIG3。」

二階堂 駿(にかいどうしゅん)。

今年のウィンターカップ全国優勝を果たしたの王子学院高校に入学したルーキーだった。