「よう頑張ったでしかし。うち感動したで。」
「くっくやしいーー!!あんの野郎ぉぉお!!!」
更衣室の壁にバンバンと何度も手を叩きつけては未茉は涙を流していた。
残り10秒で火がついたマイクの一人劇場が始まりあっさりと負けてしまった。
「せやけど、マイクさんをそこまで追い詰めたあんたらが凄いちゅーねん。」
「悔しいなー……楽しかったけど、高校の全国の厳しさ知った……あーー。もー。帰ったら練習だなー!!」
ベンチに横たわりタオルを顔にかけて自己嫌悪に落ちてる姿を見て、
(ほぼ互角に近かったと思うねんな…言わんが。ほんま未茉は大成にくるべきやったな……
今日の試合に見てたら心底勿体ない思うたわ……)
マイクは翔真に。静香は未茉に。
心通わせたチームメイトに大成に来て欲しかった二人を密かに惜しむのであった。
着替えて体育館に戻ると試合でも行われてるのか、また歓声と声援が聞こえてきたが、さっきとは少し違うピンク色の声援が響く。
「なんや盛り上がってるな。」
落ち込む未茉を連れて、静香が扉を開けると、翔真と早乙女がコートで競っていた。
「ん?なにしとんねん。」
「あ静香!今度は湊と早乙女が1on1やりはじめたよ!」
「はぁっ?!おい翔真!!何してんだよ!!?」
ーーダンッ!!
「「きゃああぁっ!!あれが噂のShowーDUNK?!初めて見たぁぁあ!!」」
騒ぐ女の子達をよそに、ちょうど豪快なダンクを決めた翔真が未茉の声に振り返り手を振る。
「大事な勝負!」
「はぁっ?!」
嬉し楽しそうに翔真は笑ってるが全く意味が分からない。



