「あれぇ、ねっ君は何部?一緒に食べようよ!!」

教室の隅っこで誰の輪にも入らず、一人でポツンと座って暗い様子の男子に気づいた未茉は誘うと、
「…」
「??」
深く顔を下ろし表情すら伺えず問いかけにも無言でうつ向いたままだ。

「おい、白石やめとけ。」
結城に連れ戻され、釘をさされた。
「アイツ、北哲郎っーんだけど俺同じ塾だったから知ってるけど、やべぇ奴だって噂あっから。」

「え、そうなの?」
「そうだろうが!!あの陰湿さ漂う不気味さ見てわかんねぇの?」
女なんて怖がって誰も声かけたりしないぜ!と言い放つ。

「不気味…?」
「ああ、北哲郎って言うからあだ名はキタロー。髪型も似てんだろ!?大きなグリグリとした一重瞼に、片方の目は髪で隠れて見えないんだぜ?!」

「へぇ、なんだそれ余計に気になるから見に行っ…」
ガシッ!!と力強く結城に捕まれ、引きずり返される。
「いってぇよ!!何」
「バカかッ!!お前隠された片目を見たら不幸になるっつー都市伝説知らねぇーのか!?」

「ぁあ?!バカじゃん知らねぇよ!!」
「家が神主の奴だからかしんねーけど、隠された片目を見たら、彼女と別れたり、テストで赤点取ったり、事故にあったりっていう伝説があって…」

「そんなのあるわけないだろ。」
迷信などは一切信じない三上は冷静にあほらしいとため息つく。
「バカやろ!!三上忘れたか!?俺がキタローと目が合った日、フリースローことごとく落ちて、大事な試合負けたこと!!」

「それはお前のいつもの実力じゃねーのか?」
未茉の冷めた突っ込みに、
「あははっ!うん。それは間違いないね。」
翔真も笑いを堪えながら肯定すると、

「な・ん・で・だ・よぉ!!俺はフリースロー成功率三人の中で一番いいんだからなっ!!!」
わめきながらムキになって否定する。