「じゃ…始めますね。」
漂う不思議な緊張感に、審判を任された大成一年の男子は、笛を吹いた。
ピーーッ!!
ハーフコートの2対2の10分勝負。
冷やかし半分のゲームだと思っていた応援に回る大成部員達は、ゲーム開始のジャンプボールで
「ーー何!?」
マイクのボールに翔真は容易く叩き、
「ナイス翔真!!」
未茉はすぐに受け取り、ゴールへと得意のキャッチ&シュートを決めてしまう。
「はえぇっ…!!」
「ゴール見てシュート打ってたか?今…」
部員達は思わずそのシュートタッチの早さに目を疑った。
「イエイッ!」と一瞬喜ぶのも束の間ーー、
「本気で来やがって・・・」
もちろん油断していたマイクが今度は、翔真の上から田島へのパスを通すとすぐに点を返された。
(やっぱ二メートルの巨人でけぇ…!!190cmの翔真が交わされるなんてよ。でもこっちもやってやるぜ。)
「よっしゃっ!!翔真行くよ!!」
ーーダムッ!!
スローインでパスし、翔真がそのままドリブルでゴール下のマイクの前へと立ち止まる。
「打たせるかっ!!」
タフショットを打たせリバウンドを取ろうとするしつこいディフェンスのマイクに、一度未茉へパスを送ると、
そのまま田島を引き付けて、ジャンプしたまま、すぐ真下から放り投げるように翔真にバックパスを投げる。
「Why!?」
ゴール下へと移動してしまったマイクが目を疑い、戻ろうとした時には、フリーの翔真はそこから3ポイントシュートを放っていた。
ーーパサッ!!
「ナイシュー!翔真!」
「うん!」
(フェイク……よく翔真は読んだな。)
まんまと引っ掛かってしまったことに悔しくも、男女にも関わらず息ぴったりの二人をマイクは見をやった。