「中学の時、静香に言ったじゃん。互いに全国で戦おうってさ。お前もその為に大成に入ったんじゃねぇの?」

「…そりゃそうーー」
「目の前の強い奴と戦っておかねぇと今の実力と向き合えねぇよ。」
「……!」

聞いていた早乙女は真っ直ぐで強い未茉の言葉にハッとする程、胸が打たれていた。

「大成のトップの前でよくそんな恥ずかしくもなく大声で言えるな……あの子。可愛いけど」
隣にいた一年の男子にボソッと言われて早乙女は、
「プレー見てると分かるよ。あの子のプレーには、心奪われる。」

「…あ。」
早乙女の言葉が聞こえた翔真は、フッと微笑む。

マイクは軽く肩回しながら未茉を見つめる田島の目は久々に面白いものを見つけ生き生きと輝いてるように見えた。

「いい退屈しのぎになりそうだ。」

(……俺よりも、この田島と肩を並べられる奴など東京にはいない。全国のトッププレーヤーにでも、田島を苦しませることは難しいだろう。)


「未茉ちゃん。行けるの?」
「おう。足引っ張んなよ翔真」

その強気な言葉に敵わず微笑む翔真は、


「たくさん寝たからね。スタミナ満タン。」

「おう!」

パンッ!と二人は力一杯叩いた手を一瞬、絡めるようにギュッと繋ぎ真っ直ぐにリングを見て離した。