「早乙女!」
未茉が呼ぶ大きな声と同時に、

「翔真ぁ!?」

体育館の天上ともっとも近い二メートルの白の巨人が青い目を見開きながら、ボールを片手にこっちを見て驚く声で消された。

「あっ、マイクだ!相変わらずでっけぇ!!」

思わず未茉は口から勝手にその呼び名が出てしまい、口を押さえると「むっ」と睨みながらこっちに来た。


「ここに何しに来たこんな時間に二人で。」

マイクはよそ者二人にじろっと視線をやるも翔真はにっこり笑った。


「お疲れ様です。ちょっと早乙女に借りを返しに来ました。」


「早乙女にぃ?」

洗い立てのジャージを差し出そうと未茉がすると、

「まぁいいや。ちょっと中入れよ。」
「はい、お邪魔します。」

「え、いいの?!」
未茉は驚くも、嬉しそうにバッシュに履き替えて体育館を上がった。

さっさとジャージを返して部活に行きたかったが、男女共に東京上位のバスケ強豪校に興味がないわけではない。

「すご…四面もあるんだ…!?」

部員の数も明徳とは比べ物にならない。練習試合の時はいなかったが男女70人ずつくらいはいて、どこかの試合で見たことあるようなMVP選手がいる。

「うーん。静香の奴よくこれで一年でレギュラー取れたな。」

やっぱ凄いなアイツ。と思ってると後ろからヒュッ!と飛んで来たボールに気づきすかさずキャッチする。

ーーパシッ!受けとると、そこには女子のキャプテンの田島がこっちをみて立っていた。