「本当に大好きです。」

「!」

「白石さんのことも。白石さんのプレーも。」

試合で見た闘志溢れる熱っぽい彼のディフェンスのように、真っ直ぐで素直な綺麗な目をして未茉に出会ってたった数分で、ずっと温めていた思いを伝えるも、


「ありがとっ!早乙女!」

ベンチに座り早乙女が買ってきてくれた水を受け取り一気にごくごくと音を立て飲み干す未茉のその横顔を数秒見つめてると、

「ん?あぁ、ごめん全部飲んじゃった。飲みたかった?」

‘ううん’と首を振って‘どうぞ飲んで’と頷く。

(そうじゃなくて……
好きって言ったのにあっさり流されたなぁ……マイクさんからも聞いたけどやっぱり見た目のまんまマイペースな子なんだなぁ。)


「早乙女さ、こんな遠くまでランニングしてるの?家どこ?」

「家はここからすぐだよ。いつも帰り道途中下車して二時間は走って帰るんだ。」

「えっ!?帰り道に走るの!?荷物持ちながら?!すげぇ!!」

「小さいからせめて体力や筋肉つけないとね。集中力切れたら途中の公園でシュート練習したりして、帰るよ。」

「あーうんうん!分かる!あたしも外のシュート練習好き!!たまに近所の人にうるさいっ!て怒鳴られるけど!」

「え…いつも練習何時までやってるの?」
「部活は7時までで、自主練は9時くらいまでやるよ!もうすぐインターハイ予選も始まるしな!」

「そんなに遅くまで……夜道危なくないの?」
「へっきへっき。だってあたし超ー足早いもんっ!!それに強いし!!」

ベンチから身軽に弾むようにジャンプして地面に着地すると、‘ね?’と未茉は微笑む。