早乙女蓮(サオトメ レン)は、168センチ程の身長で未茉とそう変わらない。東京でも高さの揃う大成高部員の中では、かなり小さい方だ。

だが鍛えているからか、体はがっちりとしていて当たり負けしなそうで女子の未茉から見ると羨ましい限りだ。


「えっ!なんであたしのこと知ってんの?!んー?どこかで会ったっけ??」

ちょうど外灯のない所に早乙女が立ってるからよく顔が見えなくて、側までやってきた未茉が顔を覗きこむと、

「あの……」
その近距離にちょっと顔を赤らめ後退りをする。

「やっぱ思い出せないや。」

「もちろんです。」
彼が喋るとまるで爽やかな風が吹いたかのように空気が清々しい。

「なぁーんか、爽やかだよな!早乙女!」
(早乙女……)いきなり名前をサクッと呼ばれて驚く早乙女に構わず親しげに話始めた。

「普段明徳でさー、あたしの周りとつるんでる連中とは違うっていうか、久々に正統派バスケットマンに会った気がするよ!」
プッ、と思わず未茉は吹き出した。

「もしかして三上とか、結城?」
「えっ!?おおっ!!知ってるの!?」
「うん。三上とは同じ小学校で中学違うけど、東京選抜とかでBIG3とは何度も顔合わせてるから。」

「マジかそうなんだっ!?あ、あたしも選抜だったからそれで知ってんの?!」

「はい。僕はずっと白石さんに憧れてたんです。王子中で活躍してる頃から。」

「えっ!そうなの!?」
やだぁ~照れるなぁ~♪と未茉はデレッとしながら早乙女に笑った。