「わりぃ、お前が男かどうか観察に時間がかかっちまった。」
「え・・?男だようん。一応。」
「おう、よく見たら男に間違いなかった。」
「よく見たらって失礼ー」
膨れっ面で睨むも、ため息ついて仕切り直し、


「未茉ちゃん。」

「……うん?」

そう真っ赤な顔で唇ギュッと噛んで潤んだ目で見上げるその仕草がドつぼにハマる程可愛すぎて、翔真の方がお手上げだった。


「ごめん。焦りすぎた。嘘……」翔真がいいかけた時、


つま先でたって翔真の肩に手をかけて未茉はほっぺに軽く唇を押し付けた。


「そ…掃除は、翔真がしとけよ!!!」


未茉は真っ赤な顔でそう言って走って教室を出ていった。


「心臓……やば」

翔真は唇の感触が残る頬に触れながら笑った。




「あれ、翔真は?」
一人で部活にやってきた未茉に結城は訪ねると、

「あー掃除してる。」
「なんで翔真だけなんだよ・・お前さては押し付けたな・・・」
「うん。まぁ、なぁ結城。」
「なんだよ。」

「お前にも信頼のキスをしとくべきなのか?」

「はぁ゛?!」
全く意味の分からない結城と、進歩があったのかないのか分からない二人なのでした。