「よしっ、じゃー決まったな!」

担任の声がかかり未茉が窓側の自分の席だった場所を見ると、他の女の子が座っていた。

(なんか不思議な感じだな。まだ入学して1ヶ月ちょいなのに、もう一年くらいあそこでワイワイしてた感じがするぜ。)

「はぁー窓側…」とため息ついて壁を見つめてると扉は開かれ男子達が声をあげて入ってきた。

「えっ、やった!マジ!?白石の隣じゃん!!ツイてる俺!」
隣に座った男子は両手をあげて喜んでる。
「そんなに喜んでもらえて光栄だよ!よろしくな!」
握手を交わそうと手を差し出すと、

「!!」
急に後ろから影に覆われたと思ったらーーーフワッと未茉の体が浮いた。

「うっわぁああ!!なっ…なんだっ!?」

ブラブラッと足が揺れて座ったまま急に視界が高くなって、みんなの驚きの視線が自分に集まってることに気づき、


「ここじゃないでしょ。未茉ちゃんの席は。」

そう耳元で言われた時にすぐ側に翔真の顔があることに気づいた時に、初めて自分がお姫さま抱っこをされてることに気づいた。

「ちょッ…!!何やってんだよ!!降ろせ!!!降ろせって!!」

ジタバタと暴れるも、「ダメ。」と舌を出して強制的に元の席、窓側に連れて行こうとすると、

「ーー湊!!お前、それはねぇだろ…」
やっと白石の隣になれたと喜んで座ってた男はキレて立ち上がるも、


「言っとくけど、俺は入学よりもずっとずっーと前から好きだったから。」


「……!」

「だから俺の勝ち。」

いつも優しい口調の翔真が珍しく、少しムキになった言い方に、皆驚いていた。
窓側の未茉の席だった場所にやってきて、
「ごめんね。」と座っていた女の子に謝り、その子が席を立つと未茉を椅子に座らせた。


「勝手にーー」と怒ると、翔真は元のすぐ後ろの席に座り、隣には結城が肘ついて座って、斜め後ろには三上が座っていた。


「そこでいいのか?白石。」

担任はやれやれと呆れながら聞くと、後ろから翔真の手が頭に伸びて‘コクン’と勝手に頷かせた。


「ちなみに…、コホン。北。お前はこんな教壇の前の席でいいのか・・・?戻った方が…」

「目が悪いので、前で。」
そうギラリとまた片目を輝かせ、
「そっ・そうか・・・」

(うぅ・・・教壇の目の前じゃないか・・・怖いよぉお)
震える新米なのであった。