そして仮入部の春休み期間を終えて、いよいよ明徳学園の入学式も無事に終えて、新しい校舎へと清々しい気持ちで向かった。

「おっはよー!!」
一年二組の教室の扉を勢いよく元気に開けると、
「あ、おはよ。」
「おはよう」
クラスでは同中同士で固まっているようだったが、みんな初対面でも挨拶には答えてくれ、未茉は口笛を吹きながら席を探すと、黒板にはまずは自由席でオッケー!と書かれていたので
「マジ?やったー!!」
浮き足だってすぐに窓側の席へと向かったが、

「あ!」

狙っていた一番後ろの窓際には、大きな男が机いっぱい使ってうつ伏せでスポーツタオルを被せて寝てる。

「なんだ。先客かよ。」
膨れっ面をしながらガラッと音を立てて勢いよく椅子を引きバッグとドラムバッグを机に叩きつけて座る。

(可愛い顔してなんてがさつなんだ・・。この子バスケ部のあの子だよなぁ。)
隣に座っていた結城は恐る恐る未茉を横目で確認する。

「ちょっと…湊君達の隣…」
「あの子誰…」
あえて誰も座らなかった席だったのか、未茉が遠慮なく座った席に女子達の冷ややかな視線が飛び交うも、
「ふぁぁっ…」
そんな視線になど気付きもせず、窓から降り注ぐ心地よい陽射しに大きな口であくびして涙目になりながら、片足あぐらをかいてた。

(な…なんて無防備なんだ…!!)
やべっと結城が真っ赤な顔を悟られまいと勢いよく反対側に顔を背ける。