「やばっ!!おめでとー!!」
「ありがとう…」
「歌を歌わなきゃね!はっぴばーすでーとぅーゆー!はっぴばーすでーでぃあ、哲郎!!」

頂上には誰もいなかったので大きな声で歌うと山びこになった。

「あ、そうだ。ケーキ!!」
「え」
「ケーキはないから手書きだなっ」

木をポキッと彫って土の上に誕生日ケーキの絵を書いていく。
「で、あとはローソク。」
ポキポキと木を16本折り立ててく。

「はいっ、完成!おめでとキタロー!!!」

ニコッと笑って差し出すと感激で泣きじゃくっていた。

「あははっ喜んで貰えて嬉しい!」
「凄く…嬉しい」
「プレゼントは何にしよーかなっ!そうだ!翔真達となんか出しあって買うよ!何がいい?」

感無量のキタローは、ケーキを写メ撮りながら首を横に振る。

「遠慮しなくていーよ!あたしの時には倍にして貰うからっ!なぁーんて!!あははっ」

「友達」
「ん?」
「じゃ友達になってほしい…」

「はーっ?!!キタローとはとっくに友達じゃん!!だって大好きだもん!!」

「大好き…なんて言われたことない…。お寺の住職の息子だし、俺こんな見た目だし、中学の時もずっと気持ち悪がられてて…料理作っても余計に気持ちがられるし…都市伝説とか言われて」

(白石だけだ…。入学式の日、教室で、俺の作った料理食べてくれたのも、俺のことを見ようとしてくれたのも。対等に人間として接してくれたのも…
彼女が初めてだった。)


「周りなんて気にすんな!!お前は最高だぜ?あたしにとって最高の友達!あたしは自慢のダチだと思ってるから、嫌なことあったら何でも頼って、相談して!なっ?!」
胸をどんっと叩いて歯を見せて頼もしく笑う彼女は、キタローにとって人生でもっとも尊い存在となり、

「ああ…!」
幸福で身震いするほど、とても幸せな誕生日となりポケットから数珠を取り出し、 

「幸せなので、お経を唱えます…」

「あはは!!なんだそりゃ」