「湊達…いいのか?」
「え、大丈夫っしょ!」
「……」
「椎名さん達に頼まれたんだ。仲良くしたいらしいぜ?」

‘湊君をもっと知りたいの’
‘結城君達を誘ってくれる?’

「…なんか息苦しかったな。」

未茉は思い出すとボソッと呟くと、一瞬顔色が曇ったように見えたので、何か喜ぶものを探そうとキタローはリュックの中から、トランプやらバスケットボールを取り出した。

「えっ!?ボール持ってきたのかよ!!最高!!」
「白石やりたがるかと思って…マイボールこの前買って」
いつでもどこでも未茉ができるように、いつも持ち歩いていた。

「あたしの為に!?本当にキタロー優しい!!最高のダチだよ!!」

(ダチ…)
こんな自分と対等にそう思ってくれていることにキタローは、じわっと涙が込み上げるのを我慢した。

くるくるッ……と指でボールを回すと、未茉に笑顔が戻りホッとした。


「んーなんかさあたし、小中学からずっとバスケガールだったからさ、バスケやお菓子以外で盛り上がるダチとあんまつるんだことなくてさ。」

「……」

「BIG3やキタローみたいにあたしとつるんでも苦にならない女友達が高校入ってからなんか作れなくて。まぁ、中学の時も女友達少なかったけど。でもそこに馴染めないってことは、あたしってやっぱ変なのかな?」


「変じゃない。」

ボールを投げ合いながら、キタローは、
「全然変じゃない。」と何度も言ってくれる。

「おう!ありがと!」

ボールに名前と日付が入ってるのでアニバーサリーボールなんだと思って見てると、日付は今日だった。

「えっ、もしかしてキタロー今日誕生日なの?!」

未茉が驚いて隣のキタローの顔を見ると、こくん…と静かに頷き、頬を赤くした。