教室に戻ると結城と三上が席で漫画を読んでいたので「あ、いたいた」と未茉は浮き足だって駆け寄り

「ゆーき♪見て見て♡」

「んあ?」
顔を近づけてアップで覗きこむとーーあまりの至近距離にガタッ!!と動揺のあまり椅子を思いっきり音を立てて結城は立ち上がった。

「どうだ?可愛いか?女の子達に化粧してもらった!」
ピョンと軽々とジャンプして机の上に座って顔を指差して‘見て見て’と笑う。

「お……おお」
不覚にもドキドキしてしまった結城は視線をそらし、そっけない返事をしながら、
「まっ、ふ…普通だな!」
と言い直すとクラス中がみんな未茉を見ていた。

(中身こんなんだけどやっぱ顔は可愛いんだな。顔は。)
結城の動揺をよそに三上はしみじみ思った。


「あれっ?翔真はっ?」
席にいないのでキョロキョロと翔真の姿を探すと
「寝不足だから屋上で寝るって」
「朝練出たくらいで寝不足かよ!低血圧な野郎はしょーもねーな!!じゃ呼んでこよー!」

急いで教室を出ていく未茉を見つめながら、
(やっぱり翔真に見せたいんだ・・)とクラス中のみんなが思ってると、


ーードンッ!!

「……っと!!」
いつものごとく教室のドアを勢いよく開けて出ていこうとした時、

「ぅわっ!ぶっ!!!」

ちょうど翔真が入ってくるとこで思いっきり顔面から、シャツの上からでも分かるその鍛えられた厚い胸板にぶつかってしまった。