「私ね、湊君がいる日は特に化粧に気合いが入っちゃうんだ…。」

どんな反応をするか試すようにを真っ直ぐな視線を向けた。


「え?そうなの??」
「湊君をもっと知りたいの!」

「へぇ。」
「もっと近づきたいっていうか……何とも思われてないのは分かってるんだけど」

「そうか。翔真は本当に知れば知るほど本当に大好きになると思うよ。あんなに気遣いできる優しい人間なんてそういないからな。」

なんてことない顔して知ったように答える未茉をやはり憎らしく思えた。

「……白石さんのそういう言動って計算でもなんでもないんだよね…」
(だから余計に腹が立つ…そんなとこを好かれるとか。)

「へ?計算?!」
「あっ、別にね翔真君をね、彼氏にしたいとかそういうんじゃないの。」
「うん?」

「だって翔真君は本当に超レベル高いから、そこら辺の女じゃ釣り合わないと思うの!大成のマイクさんも言ってたよ?私とか白石さんみたいな女じゃアイツは満足しないって!」

「へぇー!!!翔真って凄いんだね!てかマイク知ってんの?」

(全然ショック受けてない…ムカつくわ・・・)
掩護射撃に失敗した椎名は軽くひきつるも、会話を続けた。
「ああ…昨日観戦の時にちょっとね…」
「へぇーあっ、予礼鳴った!」

「あっ!そうだ白石さん。次のホームルーム来週の遠足のグループ決めがあってね、良かったら一緒のグループにならない?」

「えっ!!?遠足なんかあんの?!わぁーいっ!どこ行くんだろっ!!楽しみ!!」

(そこかよ・・・)とお子ちゃまに心の中で突っ込みをいれるも気を取り直して、
「でね、彼女達は結城君達と一緒になりたいんだって。」

「へ?」
「四人四人の男女混合だから、翔真君達を誘って貰っていい?」

「自分で誘えばいいじゃん。」
「だってー恥ずかしいじゃん!!ねぇ?!」

「ふぅーん。まっ、いいや!高校の遠足っておやつ持ってけんのかなぁー!!」

浮き足だって廊下を歩く未茉を男達の視線を集め振り返って見てるのに椎名が気づいた。

「え、なんかいつもと違くね?」
「可愛いなぁー」
「話しかけてーけどいつもバスケ部の連中といるもんなー。BIG3には太刀打ちできねぇし。」
「またあの飾らない感じがいいんだよなー」


「騙されてるんだよ…」
嫉妬で顔をゆがめた椎名は我慢ならず小さな声で吐き捨てるように言った。