「で、お話の続きどうぞ。」
部室廊下の誰もいない水飲み場まで翔真に連れて来られると、
「話?なんだっけ?」
ぽかんっとした表情で、もう忘れてしまってる。
「さっき言いかけてたでしょ・・・。なんか言いたげだったから。」
「ああ!!そうだった!!」
パチン!と手を叩いて思い出す。
「あーもうなんか恥ずかしいや!!自分でもあんなにめそめそ泣いて。」
「可愛かったよ。」
からかうわけでもなく、翔真は思ったことを素直にストレートに照れもせずに伝えられる人だと分かってはいたが、未茉は驚いた。
「ちゃんと弱いとこもあるんだなって。」
窓から溢れる朝の陽射しに当たり、翔真の目はいつもより一層ときめき輝いて優しく見えた。
「翔真に励まされなかったら、震え止まらなかったなきっと。結城達も来てくれて昨日は本当に安心ていうか嬉しかった。さんきゅーな!!」
「うん。」
「でもさ…」
「うん」
ーーギュッ!!と翔真の首に巻いたタオルを引っ張り真っ赤な顔で未茉は言った。
「泣いてたこと誰にも言うなよ!!?」
「え……」
「自分がわりぃのにメソメソ泣いてたなんてカッコ悪すぎだろ?!!だからそこは絶対ダメ!!ぜってぇー誰にも言うなよ?!!!」
「うん…」
(でもみんな知ってると思うけど…)
「そのかわりっ!!翔真が泣いたら誰にも言わないで慰めてやるから!!なっ!?」
「うーん…」
「うーん、じゃなくて!!絶対っ!!言うなよ!!なっ!?」
「じゃー、俺が泣いた時は、優しく優しく慰めてね。キスとかも宜しく。」
「はっ!?キス!?」
さりげなくお願い事もいれてみた翔真に、未茉は顔をひきつらせるのであった・・・。



