「お、はよ。白石」
「おっはよっーー!」
続いて結城や三上達男バス部員が続々と入ってきた。

「男子は来週練習試合なんだよ。だから朝練始まるんだ。」
「へぇ!男子は練習試合多くていいなぁ!!あたしもいっぱい試合して上手くなりたいなぁーーっ!」
天井を見上げて、昨日の試合を思い返すと、

(…昨日の大成戦の試合。勝ったは勝ったけど、思い出すと悔しさが残んな。
あの田島さんがスタメンで出ていたら、100点取られてただろうな。あれが全国高校プレーヤー…か。)


「んんっ!!」
ぼんやり考えてるとムギュッと翔真にほっぺ掴まれ、
「あははっ。」となぜか笑われ、
「人の顔で遊ぶなよっ!!!」
笑って逃げようとので、「待てよ!」Tシャツをグイッと引っ張った。

「あのさ」

何か言いずらそうにしている未茉は、次第に顔を赤らめて少し俯くもちゃんと目を見て言おうと爪先立ちで少し背伸びして顔をあげた。

「……」
いつになくその可愛いらしい行動に翔真は少し驚いた。

「マジ昨日は泣いて…本当に恥ずかしいとこ見せちまって……」

「あ!ああ。うん。」



「し…白石さんっ!!み…湊君おはよっ!!何してるのー?」

その空気を割り込むように椎名が足早にやってきた。

「あ、椎名さんおはよ!あれ自主練?珍しいねー。」
「うん、昨日の試合見てたら私も頑張らなきゃなって感銘をうけて」
と彼女が話してる最中にも関わらず翔真は未茉の手を引っ張り、

「ごめん椎名さん、ちょっと二人にさせてくれる?」

「あ……うん。ごめん」

完全にフェードアウトされたことに愕然とし、落ち込む椎名をよそに翔真は、そのまま未茉の手を引っ張り体育館を出ていく。