「今日、一緒に帰ろ。みんなで」
滴り落ちる汗で濡れた前髪に触れ、直しながら翔真は未茉を誘った。
「おう。いいけど…」
「え?なんかまずかった?」
「ま・ず・い・だ・ろ・湊ぉぉおお~~~~~!!」
後ろにいた野村監督がまた堂々とサボる翔真に怒りが炸裂した。
「ゲ、やべ。いるの忘れてた。」
翔真は笑う未茉を連れ出し、結城達と慌てて体育館を出ていった。
「なんだアイツら。相変わらず騒がしいな。」
マイクは鈴木の所に行こうとしたら、体育館を野村監督に追われながら走っていく四人の姿を微笑ましく見ていると、
「ん?」
階段を降りようとした時、コートの四人を見つめ睨んでる翔真の隣にいた椎名を見つけた。
「ここで場所変えてみてたの?」
ハッとマイクに気づき椎名は視線を思わず背けた。
「翔真のことは早く諦めた方がいい。」
「……!」
「君が好きな男が好きな女の子には、君は敵わない。」
「ーー……!
バスケがあの子が上手いからですか……?!」
「君は翔真と同じ目線に立てない。少なくとも翔真の目線に君はいないよ。bye」
失礼だとは分かっていたが何かを悟っていたマイクは、はっきりと告げ椎名の前を立ち去った。
「あれマイク。一人なの?湊と一緒じゃなかった?」
「沙穂。」
マイクは鈴木を迎えにいくと、何事もなかったように頷いた。
「なぜか俺が翔真達の敵に塩を送ってやったよ。」
「え?何言ってんの?」
「いや……試合おめでとう。」
「ふふ。どっち応援してたのかしら?」
「もちろん……」
優しい青い目を輝かせマイクは彼女の腰に手を当て引き寄せながら微笑んだ。