「残り二秒で、自ら3ポイント決めて勝ちにいくと思ったけど?」
そして大成ベンチでは、負けたのに涼しい顔して戻ってきた田島に工藤監督は、どういう駆け引きだったのか気になったので声をかけた。
「まぁ、そんなとこですかね?」
勝敗よりも、白石がどんなプレーヤーだか知りたかったようで、十分手応えはあったで満足そうにはぐらかした。
「インターハイ予選で勝つためにどんは奴だか知れてよかった。」
全国以外で久々に戦い甲斐があるプレーヤーに出会えたからか、久々に面白そうな表情の田島を見て監督もこの練習試合を組んだ甲斐があったと嬉しく思った。
「予選、楽しみね。あの子と戦うのが。」
「あの・・・っ!!お疲れ様です!工藤さん!」
そこへうっすら頬を赤く染め、そわそわしながら新米の斎藤が大成ベンチへとやって来た。
「ああ…、はい。お疲れ様です。明徳の顧問の…」
「さっ斎藤です!!!」
(声デカイ・・・)
「あっあの、もっももし、よかったら、この後打ち上げでも…」
「ごめんなさい。」
即答でスッと去って行ってしまった工藤に、不発に終わった斎藤は、がっくり肩を落としてベンチに戻ってくると、
「残念だったな、工藤監督は新婚らしい。」
知ってか知らずか、キタローが冷たく言い放つ。
「ノーぉぉ・・・・!!!」
ショックを受ける新米斎藤は、座りこんでしまうと、(ざまぁみろ。)ニタッとキタローは口元を綻ばせる。



