「64対44!!20点差だっ!!」
勝てるっ!ーー明徳がそう確信した時、大成のベンチが動いた。
「出るな……田島が。」
鈴木が横目で見て息を飲んだ。
「工藤監督。勝ちにはいきません。とりあえず予選の時に白石をどう潰しに行くかちょっと偵察しときます。」
ジャージを脱ぎながら立ち上がり、軽いノリのような言い回しに監督もため息つく。
「まぁ、白石を止めてプライド傷つけるのは、東京ではお前しかいない。あんまり遊ぶなよ?」
「お手柔らかにいきますよ。ラスト3分。白石頼りのチームに20点取って明徳の綻びを見せつけてやりますか。」
まるでこの試合がウォームアップかのように田島は指を鳴らして微笑んだ。
「田島だっ……!」
「田島が出てきたぞっ……!!」
ギャラリーがざわめき始めた。田島がコートへ向かった途端、
「キャプテン田島だぁぁ!!ラスト3分で大成が勝負に挑んで来たぞぉっ!!」
そのプレーを待ち望んでいたかのように大成ベンチも立ち上がり声援を飛ばし始めた。
「すっげー声援…」
「何者なんだあの女は……」
20点差をつけてるのにまるでこれから逆転劇が始まるかような異様な応援ムード漂うギャラリーで、結城と三上は辺りを見回した。
「見てれば分かる。田島を止められる女子は東京にはいない。」
マイクがそう言うも翔真は、未茉をまっすぐ見つめていた。
「残念やったな。未茉。うちはあんたに負けても大成は負けへんで。田島さんがおるんや。」
田島の背中を見送りながら、静香は未茉に呟いた。



