「すっげぇええ!!白石!!一体何点目だよっ!!」
「もっと見せてくれよ!!白石!!白石!!」
明徳の応援というよりも、未茉のプレーをもっと見たいと会場中は拍手と共に煽りだした。
「トラベリングじゃないのあれ…」
「あんだけのスピードでジャンプして倒れもしないなんつー体幹だよ……」
易々とゴールを許してしまった大成は息を切らしながら、圧巻の未茉のプレーに歯が立たなかった。
「よし、静香交代。一年でよく頑張った。」
大成の監督・工藤はそう静香に労いの声をかけると、最後までプレー出来なかった怒りとそして未茉を抜くために大成を選んだのに抜けなかった悲しみで震えていた。
そんな彼女の背中をさすりながら、工藤は思い返した。
(…中学時代、白石と静香が欲しくて何度も名門王子中を見に行った。
抜群のスピードとアシストセンスと完成度の高いシュート力をもつ白石に、
圧倒的な高さとパワーを誇る静香。二人がいることにより最高の攻守のバランスが取れた王子中の女子バスは全国にその名を轟かせた。静香を一番活かせるのは、白石だった。
だからこそセットでうちに欲しかったが…白石は全国各地からスカウトの嵐だったし、順当に王子高に行くかなとは思ったが…。)
監督は中学時代の二人を思い出しながら静香と未茉を見つめ、
(明徳に行ったことにより、白石は落ちるかと思ってたが、天才に環境など関係なかった。どこにいてもゲームを支配できる程の力。そして何よりあのーー無限の得点力。)
ー-ーシュッ!!
「ナイスッアシスト!!白石!!」
またシュートをアシストし得点に絡む未茉を見ていた。
(……もしうちに来てたら、一年生ながら田島と関東最強2ガードを組んでいたかな。
この大成女子バス始まって以来の二年連続東京ナンバーワンMVPプレーヤーに輝く田島と。)
そんな空想話を思い描きながら、隣に座る田島を見つめ、
「あと10分よ。…まだ行かないの?田島。」
「…もう少し点開いてから出ようかな。」
田島は余裕の笑みを浮かべ、得点版に目をやる。
「なんで?」
「追い詰めてく方が楽しいから。」
少し癖の強い感情を表に出す田島に、監督の工藤も苦笑いをし、
「ダメ!!出るの!!」
大成プライドに賭けて半強制的にベンチから引っ張り、交代を告げる。



