「やったぁぁ!!」
「白石すげーっ!!」
飛び上がる明徳ベンチに、いい流れが傾いていただけに大成選手は面白くない空気に変わるが、

「大丈夫よ。落ち着いてこの一本決めようっ!」
「おっけー!」
大成オフェンスの番になると、ゲームを組み立てるポイントガードが仲間の選手を落ち着かせるようにボールをつきながら声をかけながらゆっくりと攻撃に向かう。

「高さで勝てなきゃ、スタミナで勝つしかないな。まずはディフェンスでお前らのバスケを止めるしかない。」
未茉が大成の選手がつく単調なドリブルに何度も手を出して挑発して、判断ミスを誘う。

(一年にしてこの落ち着き…これが全国レベルの選手なの…?)
鈴木は大成の選手をマークしながらその言葉に頷き、未茉の能力の高さを改めて思い知っていた。

「スゲーディフェンス……!!」
「あいつディフェンスもすげぇな…ファウルギリギリだろ」
決して体力的に楽な時間帯ではないはずなのに、相手を苛つかせるディフェンスをする未茉に客席も驚いた表情を見せた。

ピーッ!!
「24秒バイオレーション!!」
ブザーが鳴ると、
「くそっ…!!」
大成はイラつきを見せ、
「「よしっ!!」」
守りきった明徳は小さくガッツポーズをし、自分達の攻撃へと切り替える。

「次は必ずあたしが決めるんで、ボール回して、スクリーンかけて下さい。」
審判の時計の確認で時間が止まった時に、未茉がコートに立つ三年の四人に強気で言い切ると、

「生意気に…」
指示されたことに新垣はムカついたが…

(でもアイツが前で体張って体力使ってあんだけのディフェンスかけてくれてるからな…そのおかげで確実に大成の攻撃リズムは崩れてる…)
文句も反論もせず渋い顔で了解した。