「くそぉっ……!」
野村監督がパイプ椅子に拳をガツンッと小さく叩いた。
「本当に同じ高校生の女の子なんですか…!?体格が中学生と大人くらいの差がありますよ…!!」
初めて強豪高との試合を見た新米斎藤は、比較にならないサイズ感に衝撃を受ける。

「新垣も174センチはある。決して女子の中では小さくはないのに、今年の大成はでかすぎる…!特にあのダンクを決める新一年何者なんだ…!?」

ここは落ち着きを取り戻すために早くもタイムアウトを取るか野村は悩んでいた。



「リバウンドがとれなければ、自然と相手ペースになり走り回らなければならないから、このままじゃ振り回されて体力は奪われる。」

マイクは大成の高さに苦痛な表情を見せる自分の彼女である鈴木と新垣を見ながら言ったが、

「大丈夫。落ち着いてますよ。」

焦るマイクとは変わって翔真は未茉を見ながら微笑んだ。



「キャプテン、新垣さん。落ち着いて!!」
「……!白石」

上手いと思っていた相手に更なる強さを見せつけられた明徳メンバーに動揺が走るが、二人の背中をポンッと叩いて未茉は、一気に走り出す。

-ーパシッ!!!
「なっーーッ……」
完全に読まれていた静香のポストへのパスを一瞬にしてカットをし、走り出す。

「スティール!!!」
「白石うまいっ!!!」
野村監督や明徳ベンチは思わず椅子から立ち上がりガッツポーズをした。

「「おしっ白石!!いけぇえ!!」」

背後からブロックを狙い走る石井も、風のようにドリブルに乗る未茉のトップスピードには追い付けずレイアップシュートを決めた。