「翔真、出てきたな。お前の女。」
「俺のものでも誰のものでもありませんよ。マイクさん。」
観客席に座るマイクの元に翔真は戻ってきた。
「ん?あの変な女は?」
「?」
「隣にいた女だ。」
「ああ…そういえばどっかいなくなっちゃいましたね。」
(何があったか想像つくな・・・)
ふとマイクは心の中でぼやいた。
「ああ。そうかどっかで見たことあると思ったら…あの子中学の総体の試合の時にいた、未茉ちゃんのチームメイトだった子だ。更に背が伸びてたから分からなかった。」
「中学の時から白石のこと知ってんのか?」
「知ってますよ。」
「へぇ…。あ、また二点入った。」
ピーッ!!
「ファウル、10番白フリースロー!ツーショット。」
このクォーター、明徳の5ファウルをいいことにゴール下であえて静香は、シュートの邪魔をしようと伸びてくる新垣の手を利用し、パワーで静香に吹っ飛ばされたあげく、ファウルを誘われてしまった。
「新垣さん!強引に手にぶつようとしてくるのが静香です。気をつけて!!」
「分かってるわよ!遅刻してきたくせに偉そうに言わないで!!」
高さある相手にまんまとファウルを取られてしまった怒りと未茉の言葉に新垣のイライラは募っていった。
「おーおー、なんや明徳は、チームワークも最悪なんやな。」
嘲笑う静香がフリースローを決める間、内部分裂が起こる未茉達を見ながら面白そうな表情を浮かべると、
「ベラベラ喋ってると外すぜ?お前昔っからいいとこで外すからな。」
未茉にそう返されると、
「なんやてぇっ・・・!?」
ガンッ・・・・
案の定、鈍い音を立ててリングに当たり、二本目のフリースローは溢れると、
「リバウンドーー!!」
リングからこぼれ落ちたボールを優位な位置にいる鈴木と新垣がジャンプして大成の石井と競い合うが-ー
「高いっーー!!」
体を張ってごりごりとやってくるセンター石井の高さに、キャプテンと新垣のタッチがまず届かず、あろうことが、再び大成のオフェンスが始まってしまう。