「何不安な顔してんだか。大丈夫よ。まだ。」

ベンチで温存されている大成女子バスのキャプテンの田島涼子(たじまりょうこ)が頷いた。


「相変わらずやな…未茉」

大成女子の11番・静香がゴールを攻めていくと、目の前に立ちはだかる未茉にほくそ笑む。
「おう…」
「今度はうちのシュート見せてやるで。」

「静香…!おう止めてやるぜ。」
聞きなれた挑発に強気で答えると、

「強豪大成に入学してできるようになったこと教えたるわーー!!」

ーーダムッ!!

「高いっ……!!」
キャプテンはもちろん、誰も静香のジャンプは届かない。

「マジか……持ったまま!?まさかーー」

静香がボールを持ったままリングへと高くジャンプしたのをただ口を開けてみていた。


ーーダムッ!!

「うちダンクシュートできるようになったんやで。」
どや顔で着地する静香に、
「「ダンク-ー?!女が!?」」
「しかも高校生だろーー」
プロ以外で初めて見た女の子のダンクに体育館全体でも衝撃が走った。

「……静香が…ダンク…」
これにはさすがの未茉も驚いた。


「-ーうおぉぉっ!!すっげーあの大成の11番……!!なんだぁ!?本当に女か!?」
「いいぞー!!静香見せつけてやれっ!!!」
休日なので他校の生徒や応援に来ていた大成の生徒達の客席は大きな盛り上がりを見せた。

「うちと一緒に大成来たらよかったのにな。そしたら間違いなくインターハイ出場やったっで?」

「静香……」

「なぁ?-ー未茉?そんなショボい高校似合わへんで。」