「えぇっ!?去年の全中のMVPがうちの女バスに!?」
明徳女バスの部室では、三年のキャプテンの鈴木が着替えながら大きな声を上げた。
「その子のプレー特集YoTubeとかで見たことあるよ。私…」
「うん…うちを受験したのは噂だと思ってたら本当に入学したみたいで今来てるって」
その真相を確かめようと三年達は急いで着替え始めると、

「こんちっはぁぁあー!!!!」

がっちゃぁああんっ!とノックもしないで部室の扉を開ける未茉に、
「「うわぁぁあ!!」」
驚く女子部員達。
「今日からお世話になります!!四月から入学の白石未茉です!!宜しくお願いしまっすっ!!」
大声で挨拶し、ぺこっとお辞儀をすると

「失礼でしょうがっ!!ちゃんとノックくらいしなさい!!!」
通路から見えないかと思わず洋服で下着を隠す一同。

「あ、はぁーい!すみません。」
えへへ。と舌を出して謝り、
「早く練習したくてついっ!!体育館で待ってますねっ!!」
ばしんっ!と再び扉を勢いよく閉めて風のように去ってく。

「なんてガサツな・・・。」
思わず呆然とする三年部員。
「あれが全中のMVP?嘘でしょ・・?」

「野村監督が今年の一年の男バスに関東大会優勝したチームの三人が入ってくるとは聞いていたけど。」
「ああ、聞いた。あの大成高の誘いを蹴ってうちに来たんでしょ?」
「BIG3でしょ?雑誌で見たことあるよ…」
「てか、なんでまたうちに今年そんな有名選手が来てるのよ……」
なんだかそわそわしながら三年の鈴木達は体育館へ向かうと、そこには昨日までの練習風景とは一変していた。