未茉は控え室に入り、顔を洗って髪を結び、すぐにユニフォームに着替えて、バッシュの靴紐を結び直し、三分で体育館に戻ると、


試合開始わずか二分-ー。

早くも16対4。大成女子の猛攻は始まっていた。


(押されてる……!!)
「高けぇ…!!なんて高さだよ!!みんな175センチ以上?」
コートを見てまず驚いたのは、中学とは違う高さとその迫力だった。

「白石!!すぐ行けるか!?」
待ちわびていたように野村監督は立ち上がる。
「もちろん!!監督、あたし…」
「説教は試合終わってからだ!それよりよく見ろ!!」
「おっおう!」
「要注意人物が二人いて、センターの石井の七番と、あと11番だ。」
「あ」
その背番号に目をやると、

「アイツは一年でレギュラーになった奴で……」
「11番の情報なんか入りませんよ。」
「ん?!」


「静香のことはあたしが一番よく知ってますから。」



(これが噂の白石かーー)
一人入っただけで、急に明徳のディフェンスもオフェンスリズムもよくなり、コートにいる大成の選手に動揺が走る。

ダムダムッ……!!
未茉にボールが渡ると、
「早いーーっ!!あの七番止めろ!!」
大成の声が響き渡る中、未茉は振りきるように走り続け、キャプテンと目が合うと

「すみません…キャプテン。」
ダムダム……
背後から狙う大成の気配を感じながら目を閉じてドリブルし、

「とりあえずこの試合勝ってから、死ぬほど反省しますっ!!」

目を開いた瞬間、ゼロステップで大成のセンターを空中でひょいっと交わし、シュートを軽々と決めた。

「「なっ……!!」」
「すっげー個人技…!!」
(東京ナンバーワンセンター、185センチの石井を簡単に交わしやがった!!?)
その早さと巧みさにまぐれかと思って部員達は我が目を疑った。